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2005.09.25 FAKE? @ SHIBUYA-AX

FAKE? "?"

Date:2005.09.25

Place:SHIBUYA-AX

結論。あたしはKENが好きだ。 FAKE?史上、最高のライヴだった。選曲もテンションも最高。 しょっぱな、マイクスタンドが定位置になく、ドラムセットの横に置いてあったので、まさか、と思った。こういうとき、一曲目がClassicなのをあたしは知ってる。Classicは大好きな曲だから。でももうやらないだろうなと思ってたよ。もう聴くこともないんだろうな、と。 そしたら、案の定だった。しょっぱなからあたしは涙が出そうになった。後から振り返ってみても奇跡としかいいようのないほど、好きな曲ばかりのライヴだった。Classic、UTOPIA、HERE WE GO、HEDFUC、SOMEDAY、TASTE MAXIMUM...っつーかシングルは全部やったし、UTOPIAもFAKE?の代表曲BEST5には入りそうな曲だからまだ分かる。でもClassicは?諦めてたのに。思わぬところで宝物を見つけたような気分だ。今回のMADE WITH AIRの曲にしてもそうだった。Belleza、Dream Catcher、Hate it、あたしが、まだこのツアーが始まる前にお気に入りで、i Podでプレイリスト作ってた曲を全部やった形になった。昔から、FAKE?の選曲とは不思議と息の合うものがあったけど、これで明らかになった。今日のセットリストは完璧。 出て来た早々、INORANは観客を煽る。お、いい感じに機嫌いいね☆そう来なくちゃ。 ライヴ中のことを、あまり覚えてないのは、イッちゃってたからだ。あまりに真剣に曲に溶けてて、時間の経過を忘れた。自分が夢中になってるとき、ふと我に返って、あ、あたし物凄く真剣だ、と思った。 INORANを見てたのか、KENを見てたのかもよく分からない。あたしはいつもの定位置にいて、二人を満喫できる場所にいた。 HERE WE GOで涙が溢れて来た。何でか?何でだっけ?嬉しくて泣いたような気もするし、悲しくて泣いたような気もする。物凄く単純な理由で泣いたような気もするし、とても一言では説明できないような思いに駆られて泣いたような気もする。覚えてるのは、自然と涙が頬を伝って、この涙が分からなくなるように、KENが水をばら撒けばいいと思ったら、本当にKENがばら撒いてくれたこと。いつも以上にあたしの勘は冴えてて、何曲か次の曲を見事に当てた、自分が恐いと思った。 KENはいつも以上にクレイジーだった。明らかに怒りに満ちて、始終せわしなく動き回ってた。最初の方で、スピーカーの調子が悪かったのか、歌いながら袖にいるスタッフのところに行くなんて場面もあった。苛立ってた。MCにも自ずとその苛立ちが現れる。 「今日は神様を呼んでるんだけど、皆のノリがよくないからまだ来てない」って言い出したり、また秋葉ネタになって、ファンが乗って来たと思ったら落としたり、自分が言い出したハードゲイのネタをファンが使うのを怒ったり、笑わせながら話してたけど、怒りは本物に見えた。あれが演技なら、俳優になれる。 曲中の動きも狂ってた。暴れるなんてレベルではなく、普通に歌いながら台の上に寝て、そのまま歌いながら転がり落ちたり、いきなり台からステージ下に転がり落ちたと思ったらステージ下を歩き出したり(あたしは便乗して何度かタッチしたけど)、INORANの肩を掴んで一歩ずつ迫って行ったり、でも表情は楽しんでやってるというよりは、ムキになって、自棄を起こしてる人のそれだった。稚拙なあたしは、この出来事を、裏切り、という言葉抜きにしては説明できそうもない。KENが怒るのは当然だ、と思う。憎しみが溢れんばかりだった、と思う。冗談にも出来ない。これからのFAKE?についての話になったとき、KENはヤケクソの意地でも見せるように、来年の春までには新曲が出せると思う、というようなことを言った。INORANは後ろで、他人事のように拍手してた。そしてKENは、他のメンバーは、って話に自分で持っていったくせして、「知ってると思うけどINORANは色々あるみたいだから、ここでは紹介してる時間はない」と言い、他のメンバーについても割愛した。そんな話持ち出さなければいいのに、と思った。わざとやってるんじゃないかと思うくらい、KENは駄々をこねてる子供そのものだった。そしてあたしは不覚にも、そんなKENをこの上なく愛しく思った。自分が動揺してることを、KEN LLOYD自身、認めてた。そしてその苛立ちが頂点に達したとき、「次の曲は、ここにいる全員に贈ります」。あ、ヤバイナと直感的に思った。Hate It。例えばJは、I Hate Youを、決してあたし達に対しては歌わない。ずれた世間一般に対して叫ぶのであって。それはJ君が、子供の心を忘れていない大人だからで、Jはある程度のことを、きちんとわきまえてるからだ。でもKENは違う。自分を取り巻く理不尽なことに悉く反感を抱く。それが同じバンドのメンバーだろうが、FANの子だろうが、ムカつくことはムカつく。そういう正直さがKENにはある。それがKENの魅力、とあたしは断言するけれども。本気なのか冗談なのか、結局最後までよく分からなかった。壊れた人形のように、道化を演じているようにも見えるけど、自虐することでしか、自分の思いを発散できないようにも見えた。一体どうなったら、貴方は満足するの?あたしと同じだね。
そんなこんなで、KEN LLOYDは苛立っていた。INORANは対照的で、常に冷静。ただ今日は、いつもよりずっとノリノリ。客煽りまくって、自分もよく動いた。あたしの脳裏に、INORANが目の前に立ってるのを見上げてる像が焼きついてる。あのときだ。あのとき、あたしはふと我に返り、このシーンを目に焼き付けなければ、と思った。こんなに近くにいるのに。そう思って、近くにいるINORANを感じようと思ったけど、うまくいかなかった。完全にトんでたから、すぐに切り替えることができなかったの。KENと比べたら、INORANは大人だった。FAKE?最後のライヴ、を成功させようとしてた。劇的、ということを彼は知ってた。どういうことをすれば、FANが納得するのか、彼は分かってた。前みたいにむすっとすることもなく、始終楽しそうにプレイしてたよ。昔の曲ばっかだったからかな。新しい曲を作らなくていいなら、過去の素敵な曲達をプレイし続けるだけでよかったなら、INORANはFAKE?を脱退することはなかっただろう。元々好きで始めたバンドで、彼は本当に楽しそうにライヴに望んでた。FAKE?になってから、INORANはよく笑ったし、一時期よく喋った。INORANがFAKE?で得たものは相当大きい。あたし達は、INORANがFAKE?を通して変わっていく様を見てた。INORANが、KENを大好きなことを、あたし達はよく知ってる。もし、先に進まなくていいのだったら、彼はこのままFAKE?を続けただろう。でも、彼もアーティストだから、しょうがない。あたしがMade with Airを聴いたときに抱いた違和感を、彼はずっと感じていたんだと思う。
今日のことは、書きつくせない、と思う。
ラストのTASTE MAXIMUMが終わって、KENはドラムにつっこんだ。何度も何度も、ダイヴした。目が常軌を逸してた。ヤケクソだ。INORANも前に進み出て、FANに親しみをこめて挨拶した。何か言うだろう、と思ったら何も言わなかった。KENも、何も言わなかった。ただ笑顔溢れるまま、みんながステージを去っていった。メンバーがいなくなっても、FANはなかなか引かなかった。INORANを呼ぶ声が、スタッフの制止にも関わらず続いていた。勿論、あたしもその一人。呆然としてた。本当に終わりだろうか。今日くらい、何かあってもいい、と思ったけど、アンコールが予定されてるにしては、全ての代表曲をやりつくしていて、もう残ってなかった。カメラが見てた。人が散り始めても、あたしは立ち尽くしてた。
友達と合流したら、自然と涙が溢れてきた。どうしてだか分からない。KENの怒りに対してなのか、INORANがいなくなってしまうことに対してなのか、FAKE?がそれでも続いていくことに対してなのか。どうしようもない感情。それまで張り詰めてたものが切れて、ホールを出るまで、あたしはしゃくり上げてた。トイレの前でしゃがみこんで友達を待ってたら、さっきKENに眼鏡を取られてたスタッフの人が心配して声をかけてくれた。皆泣いてなかった。どうして泣かないでいられるのかも、あたしには分からなかった。

予定は未定。KENが好きだけど、今後FAKE?に行くかどうかは分からない。INORANが好きだし、RYUちゃんも未だに大好きだけど、Tourbillonの地方には行かないだろう。あたしに確実に残ってるのは、Jだけだ。

タグ: live レポ FAKE?

( Last-updated: 2011.02.21 00:10 )